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『パンズ・ラビリンス』ぜひ観て下さい!

凄い映画を観てしまった。
ファンタジーの手法を巧みに取り入れながら、ファシストの嵐が吹き荒れた、あのスペインを描いている。
溝江玲子のHP「絵本工房」に載せている『パンズ・ラビリンス』についての映画評を貼っておきます。といっても私が書いたものではないのですが……。
                        溝江玲子

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*『パンズ・ラビリンス』は革命についての映画だった*(2007.10.17)

「善人になる? そうさ、なりたくないやつなんかいるかね?
だけど残念ながらこの星じゃ資産は少ないし人間は残酷だ。
穏やかに和やかに暮らしたくないやつがいるかよ?」
   〜ブレヒト『三文オペラ』〜

「正確に観察する能力は、それを有していない人間から皮肉と呼ばれる」
     〜バーナード=ショー〜

*映画の内容についていろいろネタバレがありますので、そのつもりでお読み下さい。
ではどうぞ。

ファシズム吹き荒れるフランコ政権下のスペインを舞台にした映画『パンズ・ラビリンス』を観てきた。

いたいけな12歳の少女の精神が過酷な現実世界を拒絶するために作りだしたダークなファンタジーの世界
というような内容を期待してのことだ。
少女が少女自身の生命を守るために発揮される空想力、想像力、というようなお話を、私はけっこう好んでいる。けっこう、というよりも、かなり、と言ったほうがたぶん正しい。映画『ミツバチのささやき』、絵本『はっぴぃさん』、小説『タイタンの妖女』、漫画『二十面相の娘』どれも大好きだ。
本来、空想力は、人間が現実と向き合いそれを乗り越えていくために必要な精神の作用なのだけれども、堪え難い過酷な現実から当人の生命を守り抜くために機能する想像力、空想力というものもある。その場合、空想力ができうる救命のための究極の選択は発狂、ということになるのだが、それは別の話。
で、観終った感想だが、

映画『パンズ・ラビリンス』は革命における3つの試練についての映画だった!

いや、牽強付会でも曲解でもなんでもなく、本当にそういう映画なんだって。
(^_^;)
ときは1944年。内戦ののち、フランコ将軍が一党独裁制を確立してから5年後のスペインが舞台だ。
父を亡くした少女オフェリアは、母カルメンの再婚相手である残虐なファシスト、ヴィダル大尉が駐屯している山岳地方に到着する。大尉の子供を宿した母はそこで、日に日に衰弱し、義父は残忍な本性をちらつかせる。一方、山岳部では人民戦線残党のパルチザンが絶望的な抵抗を続けていた。
オフェリアは孤独と不安に苛まれ、恐ろしい現実から逃れようと大好きな童話にのめり込むうち、妖精に誘われるまま牧神(パン)の住む迷宮に足を踏み入れる。パンは彼女に「あなたは魔法の国のプリンセスかもしれない」と告げる。空想好きなオフェリアは、その言葉を真実だと思った。少なくとも、自分が暮らしている現実の世界よりリアルに思えたのだ……。
そこで、オフェリアは牧神パンから魔法の国のプリンセスになるためのみっつの試練を与えられるのだが。
……というのが簡単なあらすじだ。
ギリギリ最後の瞬間まで彼女を救おうと機能し続ける彼女自身の空想力の、身震いがおきるほどのいたましさ、哀しさ、それから、

ひとの心が元来持っている想像力の強靱さというもの……。

映画を観ているひとたちは、その表現に圧倒されて、この映画のもうひとつのテーマになかなか気づかないでいる……と思うのは、この映画の評論をざっとネットで調べてみたうえでの私の感想だ。

もうひとつのテーマとは、「革命の試練」ね。

いや、本当に本当なのよ。
(^_^;)
革命と言って悪ければ、いま世界で吹いている新しい風についての映画なのだと言い換えてもいい。
だけど、「新しい風」なんて言ってもそれはそれでわかりにくいじゃろ?
ともかく、芸術家たちは、時代の風の流れに誰よりも敏感なひとたちで、だからこの映画は1944年のスペインを舞台にした未来についての映画なのだ。
*以下、ものすごネタバレあり。
この映画が本当に逃避のためのファンタジーでしかないというのなら、最愛の母が弟を出産するとともに亡くなったとき、その逃避行動はより深まらなくてはいけないはずだ。しかし、映画ではむしろ、彼女の空想世界はいったん後方へとひき下がってしまう。
少女オフェリアが牧神パンから魔法の国のプリンセスになるためのみっつの試練。
1つめの試練は、腐りかけた大木の地下に眠っている大ヒキガエルを退治して魔法の鍵を手に入れることだ。この大ヒキガエルが大木の栄養分をぜんぶ吸い取ってしまって、だから木は今にも朽ち果てようとしてる。魔法の鍵を手に入れることに加え、この醜悪なカエルを退治することがオフェリアの試練だ。と言葉にすれば一目瞭然、これは、

搾取構造との対決

を意味している。
2つめの試練は、ハードルが高くなる。子どもを食い殺す怪物の眠る部屋に侵入し、テーブルに置かれている豪華な食事にはいっさい手をつけないまま、魔法の鍵を使って短剣を手に入れること。

……変節への誘惑

だ。
出世と引き換えに仲間の組合員を裏切ったり、マンション立ち退き反対運動のまっただ中で自治会長が買収されたり、実によく聞く話(笑)。
そして、牧神パンがにオフェリアに要求する最後の革命のための試練。それは

血の代償だ。

革命の実現のためには、無垢な者の血が必要なのだとパンは言う。ためらうな、考えるな、とパンはオフェリアをせかす。後方からは、銃をかまえたファシストがせまる!
「疑問を持たずにただ従うだけならもはや人間ではない」
という言葉を残し殺されたフェレイロ医師の姿と、牧神パンのおぞましい要求とが鏡のように対比しあう。
革命には本当に血の代償が不可欠なのか?
そうとうなネタバレになるけれど、この映画を撮ったギレルモ=デル=トロ監督は

「ノー!」

と言っている。
3つめの試練に対してノーと答えるために、この映画は作られたと言ってもいい。
物語は終わり、あとはエンドタイトルを待つばかりだ。最後の最後に、森の奥で一輪の花がひっそりと咲く。一番目の試練でオフェリアが大ヒキガエルを退治したあの巨木の枝に、その花は咲いている。
……。
そうだ。
ファシズムの暴風の中で、すべてが根絶やしになったように思えても。

「みんなもっと仲良く暮らそうよ。そのほうがきっと楽しいよ」

オフォリアの業績を消すことは誰にも出来ない。
じめじめとして、暗くて、醜い虫たちがぞろぞろと這い回っている、そんなオフェリアの魔法の国。
その魔法の国よりもさらに醜悪な現実の世界。
どちらにせよ、最後に残ったのは、オフェリアが世界に対して示した小さな勇気、開いて見せた偉大な何かだ。
瞳を閉じるように、そっと映画が終わる。
ここから先は、また違った新しい物語が必要となるだろう。花が咲いたなら、タネも蒔かれていくはずだ。いや、蒔かれなくてはいけない。

と、こんなふうに箇条書きに並べ立てれば、ファンタジー映画のみずみずしさもなにも吹っ飛んで、妙に教条的かつ乾物的になってしまうなあ。
……。
……。
……本当に本当に本当にそういう映画なんだかんね!
ところで、話はがらりと変わるけど、この映画のテーマが「革命の試練」だと正しく捉えてるひとはどれくらいいるんでしょうかね?
ざっとだけどネット上を見回ったところ、この点に言及をなさっているのは、

もとサッカー日本代表監督トルシエさんの通訳をやっておられたダバディーさんくらいだったんだけど。

余計なお世話かもしれないけれど、すっごい不安。
ダバディーさんは日本在住のフランス人なわけで、こういうテーマに敏感に反応できるのは、ヨーロッパの市民運動のなっがい歴史があるからなんだろうか? なんてふと思ったりした。
                       「絵本工房」 溝江純日記より

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